旧居から新居へとご家族と共にお庭も引越しいたしました。
ただ以前の姿に戻すのではなく、新しく姿を変えて生まれ変わったお庭です。
K様ご家族と共に、大事にされている庭の樹や石もお引越ししました。
設計者のコメント
長年住まわれた旧宅のお庭に愛着が深いお客様でした。
旧宅と新宅ではお庭の形状が著しく異なっておりましたが、旧宅の主庭をはじめとして、
玄関前庭の植木や庭石を最大限利用してほしいという条件で、新宅のお庭の計画をご依頼いただきました。
新宅のお庭の形状は、お部屋から眺めたときに拡がりはありますが奥行きが少なく、
旧宅のりっぱな植木や庭石をバランスよく配置計画していくことに技を要求されました。
そこでまず、隣地のアパートの階段や窓の位置を詳細に計測し、植木や竹垣を計画しました。
お庭のポイントとして、大切にされている庭石を使ってつくった『流れ』と、
周辺に飛来する鷺にちなんで『濡れ鷺型灯籠』を据えました。
植物が持つそれぞれの色を活かす配置を心がけ、色が重ならないようバランスよく配置しました。
葉の色や大きさの違いにも気を配り、植物の魅力を最大限引きだせるようにしました。
拡がりがあるお庭であるため、踏み石を並べた園路が長くなります。
散策の際楽しめるよう、踏み石を変えたりタマリュウを植えたりと、足元にも変化がつくよう設計しました。
旧御自宅と異なる敷地形状でしたが、大切な庭木・庭石を余すことなく配置し、
周辺の田園風景に溶け込むようなデザインになりました。
庭石は、どれ一つ取っても同じ形のものが無く、向きや大きさなど無数の組み合わせができます。
それ故に、庭石の配置は難しいながらも庭づくりの醍醐味でもあります。
植栽を引き立てる石、主役となり空間をつくる石、石それぞれが持つ役割を見極め配置しました。